恋愛小説「水曜の朝、午前三時」を読んでの感想。

自分が選ばなかった道は自分の想像通りに見える。

あの時こうしていれば・・・そう思ってしまうことってありませんか?

誰しもが考えてしまう分岐点のもう一つの道。

そっちを選んでいたらどうなっていたかは誰にもわかりません。
でも、その選択肢は自分の想像通りになるし、正解にも見えてきます。

今回紹介する小説は、そんな分岐点が題材になっているような恋愛小説です。

蓮見圭一さんの「水曜の朝、午前三時」

昭和という時代に生き、そして、その時代の背景が影響したことによって愛する人と別れることになったある女性が主人公の小説です。

水曜の朝、午前三時について

作者紹介

蓮見圭一

1959(昭和34)年、秋田市生れ。立教大学卒業後、新聞社、出版社を経て作家に。2001(平成13)年のデビュー作『水曜の朝、午前三時』がベストセラーとなる。他に『ラジオ・エチオピア』『心の壁、愛の歌』『かなしぃ。』『別れの時まで』など。

あらすじ

45歳の若さで逝った翻訳家で詩人の四条直美が、娘のために遺した4巻のテープ。そこに語られていたのは、大阪万博のホステスとして働いていた23歳の直美と、外交官としての将来を嘱望される理想の恋人・臼井礼との燃えるような恋物語だった。「もし、あのとき、あの人との人生を選んでいたら……」。失われたものはあまりにも大きい。愛のせつなさと歓びが心にしみるラブストーリー。

川出書房新社

水曜の朝、午前三時についての感想

ネタバレのない感想です。
この小説を読もうとしたきっかけは、帯に書いていた児玉清さんのコメントでした。(児玉清さんは「アタックチャ~ンス!」の人です。)

なので、期待は大きかったと思います。読んで思ったのは、複雑な感情でした。良くあるような幸せな終わり方ではなく、しょうがないと思う部分もあるし、偏見と自分勝手だと感じてしまうような、何とも言えない感覚になりました。

こういった感情になる本はあまりなかったので、そういう意味では出会えて良かったと思いました。最初の期待値や児玉さんの紹介文とは違いましたが、楽しめました。

この小説の多くは1970年の大阪万博を舞台にしています。自分はその時代に生まれていなかったので、この本から当時の背景が見えてとても面白かったです。
その背景や時代時代の風習がこの物語に深く関わってきます。主人公の直美が想い人から離れた理由も、今の時代でも変わらない偏見だと感じました。

それは読んでみて判断して下さい。

ネタバレありの感想

ここからはネタバレ込みの感想です。

物語は主人公やそれに関わる人の語りで進みます。

直美の娘婿で、かつて直美に憧れていた「僕」が、このテープを紹介するという形で物語は幕を開けます。

この僕から見た直美とその後の直美では少し印象が違うと思います。
そこは少し面白かったです。

直美は許婚との結婚が嫌で、両親の反対を押し切って万博の仕事に就くことになります。高度成長期の日本で開かれる万博は、理想のような場所でした。

そこで出会ったのが運命の人、臼井でした。その恋にはライバルが現れたり、噂話に傷ついたり、涙したりと良くある恋愛ですが、だからこそせつなさを感じます。

そんな恋愛は直美にとって人生が変わるほど特別なものでした。それを45歳になった直美の口から包み隠さずに語られます。

そして、そんな恋を突然手放すことになるある事実が語られます。
これは読んで欲しいです。

その内容については、人によって考え方が変わると思います。
自分は好きになったらどんなことがあっても手放さないと思ってしまいます。好きなら自分に正直になって、周りのことなんて考えずに愛そうと。

でも、それは実際、その立場になったら難しいことなのかもしれません。

今の時代でもこの理由で交際を止める人は絶対にいると思います。いや、9割の人はしないかもしれません。それぐらい大きな差別であり、根が深いものだからです。

だから、自分の考えは理想なんだと感じました。

この物語の主人公は運命の人を諦めて、許婚と結婚し、子供を持つ人生を送ります。
でも、その間も運命の人を忘れずにいる。

後悔とは違うけど、そこまで愛していた人がいたなら、その人とのことを考えるのもわかります。

人生の分かれ目は誰にでもあると思います。どっちを選べば正解なんて単純なことはありません。それを選べば得られるものがあったり、失うものがある。それでも自分を納得させて人生を受け入れていくのが、人生だと思います。

だからこそ、自分が選んだ道を信じたいと強く感じました。

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