好きだった人の名前を、SNSで検索したことはありますか?
あの頃好きだった人以上に好きな人に会えましたか?
あの頃が忘れられない。
小骨が刺さったように残る記憶。
今の自分を作ってくれた思い出。
そんな大切な思い出を胸に、今を生きる物語です。
燃え殻さんの「僕たちはみんな大人になれなかった」
この小説について書いていきます。
多くの著名人も絶賛する小説です。
男心ってやつが、ちょっと分かってしまった。こんな恋なら、一生忘れられなくてもいいから、してみたい。ー吉岡里帆
謝りたい人と会いたい人が浮かんだ。ー堀江貴文
など、多くの著名人がコメントを出しています。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」について紹介
作者
燃え殻
1973(昭和48)年神奈川県横浜市生れ。都内のテレビ美術制作会社で企画デザインを担当。2017(平成29)年、ウェブサイト「cakes」での連載をまとめた『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説デビュー。
あらすじ
それは人生でたった一人、ボクが自分より好きになったひとの名前だ。気が付けば親指は友達リクエストを送信していて、90年代の渋谷でふたりぼっち、世界の終わりへのカウントダウンを聴いた日々が甦る。彼女だけがボクのことを認めてくれた。本当に大好きだった。過去と現在をSNSがつなぐ、切なさ新時代の大人泣きラブ・ストーリー。あいみょん、相澤いくえによるエッセイ&漫画を収録。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」のみどころを紹介
・SNSをやる意味がわかる。
この物語には、TwitterやFacebookなど、SNSに関わることが多く出てきます。
なぜ、人はSNSをやってしまうのか?
その理由の一つを最後の方で主人公が、ある女性を忘れられなかった理由として語られます。
その答えは共感できる人が多いのではないでしょうか。
・誰かを想像してしまう物語
この物語の主人公はある女性に対して、忘れられない記憶を持っています。そして、物語を読んでいくと、あなたに合った誰かの顔が浮かぶと思います。
共感性が高いのがこの小説です。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」のネタバレありの感想
この小説は不思議な感覚になりました。
大きな波があるわけでも、急な展開があるわけでもない。
なのに、心の奥が満足していた。
とにかく感情を述べる描写が最初から最後まで続いているので、
入り込んでしまった。
自分の中で忘れられない記憶や人が頭に浮かんでくる。
その人がいて今の自分がいるんだなって思ってしまった。
SNSをやってまう理由も共感してしまいました。
この世界に認められたいんだなと…。
ネタバレを含んでいます
ここからは軽いネタバレです。
主人公のフェイスブックの知り合いかも?に自分が好きだった人の名前が現れます。
小沢(加藤)かおり
最後に会ったのは1999年の夏、場所は渋谷。
今度、CD持ってくるね これが最後の言葉でした。
そして、この時には、すでに旦那さんと知り合っていたことも知ります。
そんな彼女に間違って友達申請を送ってしまった主人公。
1995年、20代前半。
エクレア工場で働いていた主人公は、たまたま見たアルバイト雑誌の文通ページに載っていた彼女に、文通を送ったことで知り合います。
実際に会ってみると話があい、お互い惹かれていきます。
何もなかった主人公は彼女のために頑張りたいと思い始める。彼女に恋をしていたのです。
そのことがきっかけでテレビ番組の美術制作アシスタントになります。
20年以上も続けていく仕事です。
面接に受かったことに日、彼女と恋人になり、
お祝いにホテルにいくことになりました。
安いラブホテル。ここが2人だけの空間、ここにいくことが習慣になっていきます。
どんなに仕事が忙しくなっても彼女との時間はとても有意義な時間でした。
好きな人の全てが正義になる。そんな恋の魔法にかかっていました。
そうやって、日常を過ごしていく間に、突然別れがやってきます。
現在の主人公は彼女に感謝をしていました。
何もなかった自分を承認してくれた人。
彼女に毎日をフォローされ、生きることを承認されることで、ボクは生きがいを感じることができたんだ。
そして、彼女と行ったホテルで
「ありがとう、さようなら」
というのでした。
だいぶ端折ってしまいました。分かり辛いかも知れません。
主人公たちが別れた理由は特に書かれていません。
でも、なぜ彼女を忘れられないのかは、最後の方で書かれています。
唯一認めてくれた人。
それってSNSと似ていませんか。
スマホを開いただけで会ったことがない人たちの生存確認ができる時代。
知らない方が良いことも親指一つで知れてしまう時代。
それだけで繋がっている。
誰かの反応が嬉しい。誰かから認められたい。
そういう承認欲求が誰の中にもあるんじゃないかと。
でも、それって逆を言えば、孤独が怖いってことなんじゃないかなとも思いました。
だから、主人公が感じた
何もなかった自分を承認してくれた人。
彼女に毎日をフォローされ、生きることを承認されることで、ボクは生きがいを感じることができたんだ。
という言葉は心に深く入り込んできた気がします。
この小説は、今の時代の人の心に響く何かがあるはずです。
少しでも気になった方はぜひ読んでみてください。
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