物語の登場人物それぞれに思惑がある。
人は何かしら考えています。それは小説の中の登場人物も一緒だと思いました。
そう感じた小説です。
佐藤青南さんの
「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」
を紹介したいと思います。
普通の恋愛小説ではなく、ミステリーの要素の入った恋愛ミステリーと呼べるジャンルの本です。
読み始めたら止まらなくなる。思わぬ展開に驚愕。
そんな、一気読みしたくなる小説です。
たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に
作者
佐藤青南
熊本大学法学部に入学するが、途中で除籍。その後、上京してミュージシャン活動をする。2009年、第4回ポプラ社が主催する長編小説を対象とした公募の新人文学賞『ポプラ社小説大賞』で最終選考に残るも落選。2010年、『ある少女にまつわる殺人の告白』で 第9回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞を受賞し、同コンテスト5度目の応募で念願の作家デビューを果たす。
あらすじ
「デートしてみよっか」恋をあきらめていた僕に奈々(なな)が言った言葉。それは上司のパワハラに悩みながら資格試験の勉強をしている冴(さ)えない僕の毎日を一変させた。奈々への恋心を確信した頃、ある同僚女性から好意を寄せられるようになり、何かが狂い始める。これは恋か罠(わな)か、それとも――ときめきと恐怖が交錯する一気読み必至、衝撃の結末が待つどんでん返し純愛ミステリー!
「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」のみどころ
・人の怖さ
この小説に出てくるある人物の怖さは、鳥肌ものでした。こんな人が近くにいたら、絶対に狂ってしまう。主人公が感じた恐怖はあなたも理解できるはずです。
・登場人物の思惑
それぞれの思惑があって、それが重なり合って、この物語が進んでいきます。
あそこがなければ、あんなことをしなければ、それを阻止できていたら、この物語は進んでいないし、出会わなかった。
タイトルの意味は、ここに関係しているのだと思いました。
「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」のネタバレありの感想
ここからは感想とネタバレを書いていきます。
読み終えて、良い作品だったなと思ったのが第一印象でした。
細かいところは気になったけど、大きなストーリーはすごく好きな作品でした。
歪な三角関係、それが今回の作品のメインです。
主人公は巻き込まれた形でしたが、そこには確かに愛があった。
峯岸祐子がいなければナナとも会えなかった。だから、ハッピーエンドはなかったはずです。
でも、この2人がもし結ばれていたら、良い関係になっただろうなと思いました。
甘酸っぱい恋愛模様はときめきを感じました。
峯岸祐子に対しては恐怖、ただそれだけです。
こんな人が近くにいたら自分は発狂してしまう。
主人公と同じことをしてしまうかもしれないと思ってしまいました。
そう思うとこれが唯一の方法だったかもしれない。
題名もなんとなくわかる気がしました。
この小説は、ナナとの恋愛、峯岸祐子とのホラー、その2人が合わさったミステリーと盛り沢山です。
なので、ホラーとミステリー両方が楽しめます。
ある意味贅沢な小説です。
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